トランス

RLE(実生活経験)について

RLE(実生活経験)について

RLE(実生活経験)について説明します。

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RLEとは

RLEとは「Real Life Experience」の略であり、訳すると「実生活経験」となります。

これは「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」に記載されているもので、性同一性障害と診断するための基準、身体的治療(ホルモン治療)へ進むための基準のひとつとして設けられており、診察においてはこれが非常に重要視されています。

RLEとは文字通り本人が女性として実際に過ごしてみることです。それを通してトランスの適合性や問題点などを抽出、検討していきます。

実生活経験(RLE)

本人の望む新しい生活についての必要十分な検討ができていること.すなわち,身体的性別とジェンダー・アイデンティティとの間に不一致が存在しながらも,可能な範囲で今後の新しい生活を試みており,それについて適合感があり持続して安定していること.

注:たとえば,本人の望む生活を試みるなかで,周囲の好奇の目に曝されることへの耐性も必要である.さらに職業に関しては,現在の仕事が継続できる条件を整えているか,一旦職を辞して新しい職に就く場合には,具体的な見通しがついていること.学生の場合には学校側と授業や実習に関しての調整がなされて いるか,特に調整を要さない科目のみの履修で済むように科目選択が可能であるかなども考慮すべき点である.

性同一性障害の診断と治療のガイドラインより

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RLEの目的

RLEの目的について見ていきます。

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2ー1 トランス環境のチェック

まずは当事者がトランスするにあたり、置かれた状況や環境などを見ていきます。

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2ー1ー1 周囲の理解・カミングアウトの検討

当事者がトランスするには周囲の理解が必要となります。本人がいくら女性になりたいと言っても親や会社、学校などが協力してくれない状況では女性化するのは困難です。

また、そこで自身が性同一性障害だとカミングアウトすることでそれらの問題が解消されるかについても検討が必要となります。同時に「いつ」「誰に」「どのように」カミングアウトするのか、またはカミングアウトしない方が望ましいかなどを検討します。

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2ー1ー2 仕事・学業の継続可能性

当事者がトランスし、女性となった場合でも現在の仕事・学校に継続して通うことができるか、辞める必要がないかを見ます。本人が女性化したのがキッカケで会社を首になったり不登校になったりすると当事者にとって悪影響であり、そのような予測されうる不安性はできうる限り取り除かねばなりません。

仮に退職、退学することになったとしても、新たに就職・転校などができるかも考えます。

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2ー1ー3 本人のパス度

女性として生活するには見た目が男性のままでは暮らせません。いかに外見が女性に見えるか、つまり本人にそれ相応のパス度があるかを見ます。

しかしこれには大きな問題点が存在します。詳しい内容は後述します。(3.RLEの問題点

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2ー1ー4 困難場面に対する対応力の測定

男性から女性になるのだからもちろん簡単なことではありません。様々な問題が出てくることでしょう。まず挙げられるのが「周囲の好奇な目に晒される」ことです。このような場面でも本人に対処する能力があるかを見ます。変な目で見られても精神的に壊れないか、鬱状態などに陥って自殺に至ることがないかをチェックするのです。

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2ー2 性別違和持続のチェック

RLEは通常半年から1年をかけて行います。その間様々な問題点が浮上し、困難にも直面すると思いますが、それでも本人に性別違和があり、女性として生活したい、女性になりたい、という気持ちが持続しているかを見ます。

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2ー3 GID以外の排除

上記の「性別違和持続のチェック」の段階で「あぁもうダメだ」と諦める人はそもそも性同一性障害ではありません。よってここで「本当に女性になりたい人」と「単に趣味でやっている人」がふるいにかけられます。

男性が女性として生活することは並大抵のことではありません。趣味程度でやっている人はその困難に打ち勝つことができないでしょう。パートタイムで女装ができたとしても仕事・学校など、フルタイムで、かつ女性に見えるパス度を伴って生活することはほぼできません。

つまり、GID以外の人はホルモン治療に進めません。

そしてこれがRLE基準の最も重要な目的です。

ホルモン治療、つまり女性ホルモンを摂取することは不可逆的な効果(後戻りできないもの)であり、これは男性機能を破壊し生殖能力を永続的に不可能に至らしめるものです。睾丸は男性ホルモンのテストステロンの分泌を停止し、身体は性ホルモンが欠乏した状態になります。よって一生涯女性ホルモンの摂取が必要となり、これを怠ると骨粗しょう症や更年期障害など様々な問題が出てきます。

また、女性ホルモンの摂取(これをクロスホルモン治療といいますが)は精神的にも影響を及ぼします。今までと違った性ホルモンを摂るわけですから良い影響ばかりではありません。女性ホルモン摂取者の多くは精神的に不安定になるといわれており、鬱状態に陥る人も少なくありません。

そして何度も言いますがこれは不可逆的です。一度始めるともう後戻りできないのです。

よって、「趣味程度の人」にホルモン治療を行うことはその人のその後の人生を台無しにする行為と同等となります。これを避けるためガイドラインにはRLE基準が設けられているのです。

やってみたけど女性として適応できなかった、やっぱり男性の方がよかった、そう思っても後の祭りなのです。

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RLEの問題点

次にRLEの問題点について見ていきます。

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3ー1 ノンホルではRLEが困難

前述したようにRLEの目的は非GID者にホルモン治療を行わないことにありますが、そもそもノンホルでは女性として生活することは困難です。

ホルモンを摂取していない、いわゆるノンホルの状態だと体つきも筋肉も脂肪の付き方も男性のそれそのままです。その身体の状態で例えばウィッグを被りメイクをしたとしても、いったいどれほどの人が違和感なく女性社会に溶け込み生活できるでしょうか。もちろん本人にその素質がある人は可能です。しかしそれは少数でしょう。

女子トイレに侵入して逮捕される女装男性のニュースをたびたびテレビで見ます。言い方は悪いですが、ノンホルだと見た目は正直そのような人とほぼ同等と言っていいと思います。厳しいですよね。えぇ、厳しいんです。

女性化するためには女性ホルモンの摂取による身体的変化が不可欠です。クロスホルモンによって身体は男性から女性に変化していきます。肌はきめ細かくなり顔の印象も柔らかくなります。筋肉が落ち皮下脂肪が付くことでふんわりとした女性らしいシルエットになります。体毛が減少し頭皮の生え際も女性らしく丸みを帯びます。

その変化が自信に繋がり精神的にも安定します。精神的に安定するとさらに女性として生活する活力・意欲が出てきます。そうしてさらに素敵な女性になっていくのです。

それが、ガイドラインではノンホルでやれと言っている。

これはどうでしょうか。一部の素質がある人を除き、大部分の当事者をないがしろにしていると言わざるを得ないのではないでしょうか。正直にガイドラインに従ってノンホルでRLEをやった当事者はどうでしょう。先述した女装おじさんのようになり好奇な目に晒されることでしょう。本人は自信を失い精神的に追い詰められます。当事者にとって女性になれないのは死を意味します。これは大袈裟ではありません。崖っぷちに立たされた当事者の取る行動はどうなるでしょうか。その崖から飛び降りてしまう、そんな結末になるのではないでしょうか。

これは当事者の為にはなりません。

私はここにガイドラインRLE基準の大きな問題点があると思っています。

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3ー2 実態との乖離

このように、ノンホルの状態でRLEすることは困難なため、多くのMtFは診断が出る前から女性ホルモンを自主的に摂取しています。これを「フライング」といいます。今はネットで簡単に女ホルが買える時代です。ポチッとやるだけで薬が自宅に届くのです。そしてそれを飲めば身体的に女性化することができる、これを使わない当事者はいないでしょう。ノンホルで半年から1年もRLE?ふん、何を言っている、フライングによって身体的に女性化した方が早いし為になるじゃないか、多くの当事者はそう考えるでしょう。そしてそれが実態です。

つまりガイドラインには一応RLE基準が設けられホルモン治療へのストップがかけられていますが、現実には多くのMtFはフライングしており、基準と実態とが乖離しているのです。

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3ー3 制度の形骸化

ではフライングした当事者はガイドラインに則していないとして診断から除外されるのでしょうか。いいえ、そうではありません。医師も上記の実態は十分に理解しており、そのような患者をたくさん診ています。それらの人を除外していてはほぼすべての人が確定診断を得られないことになってしまいます。なので医師もフライングを黙認し、本人に性別違和の継続等があれば性同一性障害の診断を出します。身体的治療つまりホルモン治療へ進むことを認めているのです。

さらに言えば、ノンホルでパス度が足りない人を逆に診断から除外しているのが現状です。ガイドラインでノンホルを推奨していながら、パス度が不足している、女性として適応していないからと落とす。なんでしょうかこの矛盾は。こんなことがあっていいのでしょうか。

よって、現在はフライングで女性化し、それによって女性として適応した人に診断を出しているのが現状であることから、ガイドラインのRLE基準はもはや形骸化していると言えます。

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RLEのやり方

RLEの具体的なやり方について見ていきます。

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4ー1 室内

やはりまずは室内でしょう。レディースの服を選ぶのもどれを買えばいいのか分からない段階です。似合っているかすら分かりません。メイクだってそうでしょう。まずは脱毛し、服をそろえ、メイクをして室内で女性の格好になってみることから始まります。

ここで新しい女性の自分に感動し目をキラキラさせる人もいれば、あまりのオカマっぷりに落胆する人もいます。それはその人の持つ素質によるところが大きいです。元気が出た人はそのまま進んでください。落胆した人は一度落ち着きましょう。まだトランスは始まったばかりです。元が男性なのでこれは仕方ありません。男性が女性の格好をするんですよ?多少なりとも違和感を持つのが普通です。ドンマイ。

女性ホルモンの効果によって徐々に身体的にも女性化していきます。パス度は上がってきますので急がないでいいです。長い目で見ればほとんどの人がパスできるようになります。

トランス初期

部屋の鏡でパシャリ

 

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4ー2 外出

次に外に出てみましょう。女性の格好での外出です。最初はドキドキすることでしょう。人目が気になって仕方が無いと思います。おそらくほとんどの人はまだ女声の習得もまだなので声を出すこともできないでしょう。

でもあまり気にする必要はありません。人は自分が思ってるほど他人を見ていないのです。誰もあなたのことを凝視したりはしないでしょう。堂々としていれば大丈夫です。何も法を犯しているわけではないのですから。

外では顔などの細かいところよりも全体的な印象が重要となります。体つきや姿勢、歩き方です。体つきは他の記事で説明してるので参考にしてください。男女のこの違いが「ぱっと見」の印象を決めます。そのぱっと見でその人が男性か女性かを判断しているのです。遠くからでもその人が男性か女性かくらいは分かるのはそのためです。

体つきの違いの克服はどうしても時間が掛かりますのでここは服で上手く誤魔化すのが女性化のテクニックです。男性の体格は▽、女性は△の形をしています。下半身にボリュームを持たせるためふんわりとした「フレアスカート」を着用するのがオススメです。同じ分類にタックスカート、サーキュラースカート、ギャザースカートなどがあります。

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4ー3 パートタイム

慣れてきたらできる限り女性として生活してみましょう。仕事や学校ではまだ男性だと思いますのでそれ以外の時間、つまりパートタイムでのRLEとなります。私生活を女性として過ごしてみるといろいろなことが見えてきます。どうすれば女性らしくなれるのか。女性と男性の違いは何か。メイク術やボイストレーニング、姿勢や歩き方、ちょっとした仕草など気がつくことが多いでしょう。それらを研究し、習得することでより女性らしくなってください。

結構ボーイッシュな格好もしてました

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4ー4 フルタイム

最終段階です。24時間365日常に女性で生活するのです。もちろん仕事や学校も。ここまで来たらもはやRLE、実生活経験を超えて「普通に女性として生活」している状態になります。つまりほぼトランス完了です。

パートタイムとフルタイムの間には大きな差があります。簡単に時間の差ではありません。女性化の質の差です。周囲に女性として認知され、ノンカム(ノンカミングアウト、自分が男性だと知らせないこと)でも当たり前に女性として扱われることが必須となります。そのためには女ホルだけでなく改名、SRSも必要になってくるでしょう。当然すぐというわけにはいきません。年単位で時間を見ないといけないでしょう。急いでいる人にはもどかしいですが、それがトランスです。我慢し自身を磨きましょう。

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まとめ

いかがだったでしょうか。RLEはガイドライン上の診断基準ですが、別にそれに関係なく女性化するためには誰もが通らなくてはならない道です。トランスの全過程の縮図のようなもので、室内RLEから始まりフルタイムRLEまで、その間に驚くほど見た目も雰囲気も変わり、女性化していることでしょう。

これにかかる期間は人それぞれです。学生なのか社会人なのかなど環境にもよりますし、本人がどれだけ努力するか、どれだけ素質があるかも関係します。周囲の理解や、それを切り開いていく度胸も必要でしょう。

私の場合はどうだったかな。室内からパートタイムに移るまでは半年程度、それからフルタイムでトランスを終えるまでが4年ほどかかったでしょうか。全行程を見ると長い部類になると思います。まぁ家庭や仕事などいろいろありましたからね。あと35歳からのスタートでしたのでやっぱり年齢の壁も大きかったです。でも今は普通に女性として生活しています。これを読んでいる方もそうなれます。信じて女性の道を歩みましょう。努力は実りますよ。必ずです。

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