女性ホルモンについて
ここでは女性ホルモンについて説明します。
薬事法の関係で国内正規処方のみの紹介となります。ご了承ください。
あくまで一般論的な説明です。
また、この記事は安易に女性ホルモンを勧めるものではなく、正しい知識を身に付け、同時にリスクについても認識してもらい、よって女性ホルモンの利用に慎重になってもらうことを目的としております。
目次
- 1 女性ホルモンの大分類
- 1-1 卵胞ホルモン
- 卵胞ホルモンの種類
- 卵胞ホルモンの強さ
- 1-2 黄体ホルモン
- 1-3 各ホルモンのメリットとデメリット
- 1-4 抗男性ホルモン剤
- 2 女性ホルモンの効果
- 変わること
- 変わらないこと
- 3 女性ホルモンのリスク
- 4 摂取方法と薬の種類
- 4-1 錠剤
- プレマリン
- 4-2 注射
- プロギノンデポー
- ペラニンデポー
- ルテスデポー
- 5 まとめ
女性ホルモンの大分類
女性ホルモンは大きく分けて卵胞ホルモンと黄体ホルモンがあります。
1-1 卵胞ホルモン
卵胞ホルモンには以下のような作用があります。
【卵胞ホルモンの作用】
・ 卵巣内の卵胞を成熟させて、排卵、受精に備える
・ 受精卵が着床しやすいように子宮内膜を厚くする
・ 自律神経のバランスをとる。
・ 女性らしい丸みのある体つきにする
・ 血流を良くしたり、真皮のコラーゲンを増やして、肌に潤いやハリを出す
・ 骨にカルシウムを蓄える
・ 髪を滑らかにして、さらさらにする
など
1-1-1 卵胞ホルモンの種類
卵胞ホルモンにはさらに細かく種類があり、エストロン(E1)、エストラジオール(E2)に分類されます。それぞれがどのホルモン剤にあたるのかは以下のとおりです。
ポイント
- エストロン(E1)→ プレマリンなど
- エストラジオール(E2)→ プロギノンデポーなど
1-1-2 卵胞ホルモンの強さ
これらエストロン(E1)、エストラジオール(E2)は同じ卵胞ホルモンですが、それぞれ強さが違います。摂取する際はこの強さを意識して注意・調整する必要があります。
これらを強さの順に並べると
E2>E1
ポイント
- エストロン(E1)→ 普通
- エストラジオール(E2) → 強い
1-2 黄体ホルモン
黄体ホルモンには以下のような作用があります。
【黄体ホルモンの作用】
・ 受精卵の着床に備えて、子宮内膜をより厚くし、柔らかくする
・ 妊娠に備え、体温を上げる(基礎体温の高温期をつくる)
・ 妊娠に備え血管を拡張させて、骨盤内に血液をためる一方で、血行が悪くなる
・ 抑うつ状態をつくりやすくする
・ 血糖値を下げる
・ からだに栄養や水分を備えるため、むくんだり、太りやすくなる
・ 男性ホルモンの分泌を抑制する
など
1-3 各ホルモンのメリットとデメリット
メリットとデメリットですが、上の各ホルモンの説明の赤文字がメリット部分です。逆に青文字がデメリット部分ですね。見てもらうと分かると思いますが、卵胞ホルモンはメリットが多いのに対して、黄体ホルモンはデメリットばかりです。
黄体ホルモンを摂る意味
ではなぜこの黄体ホルモンが必要かというと、「男性ホルモンの分泌を抑制する」からです。
ポイント
- 卵胞ホルモンは身体を女性化させる。
- 黄体ホルモンは男性化を抑制する。
1-4 抗男性ホルモン剤
通常は上のように「卵胞ホルモン剤」と「黄体ホルモン剤」で女性化するのですが、それでは足りない!憎き男性ホルモン・テストステロンを駆逐したい!という方もいると思います。実はれっきとした抗男性ホルモン剤が存在します。酢酸シプロテロンという抗男性ホルモンの作用をする物質を配合した薬です。しかしこの薬は一箱に入っている錠剤の数が少なく値段が高いのと、作用が強すぎて慎重に使わなければならないのがネックです。なので私は使っていませんでした。どうしても男性ホルモンを徹底的に痛めつけたい!という方のみ服用するといいでしょう。
女性ホルモンの効果
女性ホルモンを摂取するとどのような変化があるのでしょうか。
2-1 変わること😀
- 男性的な性欲が減少する
- 男性器が小さくなる
- 精液が出なくなる(男性機能の停止)
- 乳腺が発達し胸が膨らむ
- 筋肉量が低下する
- 肌のキメが細かくなりスベスベになる
- 血管が目立たなくなる
- 髪が細くしなやかになる
- 体毛が薄くなる
- 皮下脂肪が付きやすくなり女性的な体型に近づく
- 顔つきも含め全体的な雰囲気が柔らかくなる
- 体臭が気にならなくなる
- 爪が割れやすくなる
- 怪我の治りが遅くなる(アザができやすい)
このような変化は女性ホルモンの摂取後3ヶ月頃から現れ始め、1年もすると全体的に変化を感じることができるでしょう。それから数年もすればRLEも進んでいることもあって見た目もだいぶ変わりますよ。
2-2 変わらないこと😭
- 女声にはならない
- 骨格は変わらない
- 喉仏も小さくならない
- 自動的に憧れの素敵な女性になれるわけではない
残念ながらゆで卵が元に戻らないように、成長期に形成・発達してしまった骨組織・骨格は変わることはありません。そこは女性ホルモンの作用である「皮下脂肪」で見た目を柔らかく変えることになります。また、声も女性のようになるわけではありません。いくら女性ホルモンを摂っても声は男のままです。ガッカリしました?でも大丈夫です!女声はホルモンによるものではなく、日頃の練習によって得ることができます。努力ですね。
女性ホルモンのリスク
注意ポイント
- 上でも書きましたが男性機能が破壊されます。精巣が機能を停止し、精子を作ることができなくなります。これは不可逆的な効果であり、途中で後悔して女性ホルモンを止めても元には戻りません。男性に戻ったとしても結婚して子供をもうけることができないのです。
- また、男性ホルモンの分泌も止まってしまうので、一生女性ホルモンを外部から摂取する必要があります。錠剤や注射を死ぬまでずっとやり続けるのです。もしこれを怠ると性ホルモンの欠乏で骨粗しょう症や更年期障害を引き起こします。「更年期障害なんてたいしたことないでしょ」と考えてる人は大間違いです。一日中倦怠感に包まれ何をしてもしんどい日々が続きます。廃人になると言っても過言ではないでしょう。またすごくイライラして攻撃的になります。
- 乳がんの危険性が高まります。胸が膨らむのはいいですが、それだけ女性と同じリスクを負うことになります。乳がん検診は必須となることでしょう。
- 肝機能障害や血栓症のリスクが高まります。定期的な血液検査を受けることをオススメします。
女性ホルモンの摂取方法と薬の種類
では女性ホルモンの摂取方法とその薬の種類を見ていきましょう。
薬事法の関係で国内で正規に処方されているもののみの紹介となります。ご了承ください。
4-1 錠剤
プレマリン(卵胞ホルモン剤)
プレマリン
プレマリン(卵胞ホルモンE1)
プレマリンは日本国内で正規処方されている女性ホルモン剤です。分類はエストロンでE1にあたります。身体の女性化に作用します。1錠0.625mgです。
4-2 注射
プロギノンデポー(卵胞ホルモン剤)
プロギノンデポー
プロギノンデポー(卵胞ホルモン)
卵胞ホルモンのエストラジオールE2に分類されます。毎日服用する錠剤とは違い、1度打てば10日ほどその効果は継続します。しかし通常は自分で打つことはできないため定期的に病院に通う必要があります。また、病院によって価格がバラバラです。安いところだと1アンプル1,000円前後ですが、高いところだと5,000円前後します。これを利用してるMtFは2週間間隔で2アンプルずつ打っていることが多いです。1アンプル10mgです。臀部もしくは腕に打ちます。E1より効果は強いです。
ペラニンデポー(卵胞ホルモン剤)
ペラニンデポー
ペラニンデポー(卵胞ホルモン)
プロギノンデポーとまったく同じです。卵胞ホルモンのエストラジオールE2に分類されます。病院によってこちらを打たれる場合がありますが、製薬会社が違うだけで成分は同じです。E1より効果は強いです。
ルテスデポー(混合ホルモン剤)
ルテスデポー
ルテスデポー(卵胞・黄体ホルモン混合製剤)
卵胞ホルモンと黄体ホルモンが混合されており、これ一本で両方摂取することができます。生物学的女性には両方のホルモンの分泌があるため、それを同じようにしたいと望むMtFが打っています。1アンプルに1mlです。プロギノンやペラニンは容量がmgなのに、なぜかこれはmlで表記されています。なぜでしょうね。E1より効果は強いです。また黄体ホルモンも含まれているため抗男性ホルモン的な役割も果たします。ただし抑うつ作用もあるので使用には注意が必要です。医師とよく相談しながら使用してください。
まとめ
いかがだったでしょうか。ホルモンにもいろんな種類があります。どの種類をどれくらいの量を摂取するかは様々であり、また、その効果にも個人差があります。最初はいろいろと悩むと思いますが、医師と相談しながら自分にあった摂取容量等を見つけてください。
そして素敵な女性になりましょう!