トランス関連

性別とは

性別とは

性別とは何か、ここではそれを見ていきます。

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身体的性別

まず身体的な性別の違いです。心の性ではありません。あくまで「身体」の性別です。a1-1

1ー1 男性

生まれ持った身体の染色体がXY型であり、男性器(陰茎、陰嚢等)を持った人です。a1-2

1ー2 女性

生まれ持った身体の染色体がXX型であり、女性器(陰核、膣等)を持った人です。

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性自認

性自認とは自分をどのような性だと自覚しているかということです。いわゆる「心の性」とも言われます。これは様々なものがあります。a2-1

2ー1 男性

自分を男性だと自覚している人。a2-2

2ー2 女性

自分を女性だと自覚している人。a2-3

2ー3 Xジェンダー

男性、女性に区別されない、または不明な人。「第三の性」や「Gender Queer」などともいわれます。a2-3-1

2ー3ー1 中性

男性と女性の中間に当たる人です。a2-3-2

2ー3ー2 両性

男性でもあり女性でもあるという人です。女性寄りや男性寄りなど、その度合いは様々ですが、基本的に「どの位置に属するか」はある程度固定しています。(不定性との違い)a2-3-3

2ー3ー3 無性

男性でも女性でもないという人です。中性とも違っていて、そもそも性別という概念に囚われない人をいいます。性別は通常男女二元論ですが、その概念の外にいるような形です。a2-3-4

2ー3ー4 不特性

男性なのか女性なのか、その自認が流動的ではっきりとはしない人です。日や場面によって切り替わる場合もあれば、「中性」「両性」「無性」を行ったり来たりする人もいます。基本的に自分の性を分類できておらず、一体自分は何者なのかと悩む人もいます。MtX、FtXがこれにあたります。a2-4

2ー4 クエスチョニング

自分の性別を確定していない段階もしくはその状態の人です。先ほどの「不特性」とよく似ていますが、不特性が「分かっていないことが分かっている」人であることに対して、クエスチョニングは「分かっていないことすら分からない」人といった感じでしょうか。非常にややこしいように思えますが実は単純で、性自認を決める(または決められない)上で誰しもが無意識に通る道です。幼稚園入園前の幼少期などがそれに当たります。この時期は自身の性自認を男性や女性、もしくはそれ以外など「決定する」という意思は持っていません。その状態です。しかし幼稚園入園後は「おとこのこ」「おんなのこ」に明確に分類されるため、そこから性自認の決定過程が生まれます。つまりクエスチョニングとは「性自認すら意識しない状態」といえるでしょう。

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性指向

性自認が自分の性別という内部に向けられた概念であるのに対し、性指向とは外部に向けられた概念です。まぁ要するに「誰が好きか」ということですね。性自認と性指向はまったく別物であり、この組み合わせは様々です。例えば男性だから女性が好き、女性は男性が好き、といった固定概念がありますが、細かく分類するとそれに留まりません。a3-1

3ー1 異性愛(ヘテロセクシャル)

自身と反対の性別の人を好きになる人です。現在はこれが多数派でありマジョリティーとなります。先ほど例に述べた「男性は女性」「女性は男性」を好きになるといった形がこれにあたります。現代はこれが「当たり前」「普通」とされているため、それ以外の人は「普通じゃない」「変」な人という偏見を持たれがちです。しかし性指向はこのような多数派たるマジョリティーによって形成されるものではなく、各々が自由に持っていいはずです。現在はLGBTという言葉も浸透し始めました(まぁLGBとTは厳密には違いますが性的少数者という意味では同じです)。a3-2

3ー2 同性愛(ホモセクシャル)

自身と同じ性別の人を好きになる人です。男性が好きな男性(ゲイ)、女性が好きな女性(レズビアン)などがこれに該当します。「などが」と書くとそれ以外にもあるのかと思われるでしょうが、私はあると思います。エックスジェンダーが好きなエックスジェンダーだっているかもしれないじゃないですか。性の形は千差万別です。語弊を恐れず言うならMtFが好きなMtFも(レズビアンとは異なる)同性愛と言うこともできるのではないでしょうか。a3-3

3ー3 両性愛(バイセクシャル)

自身の性別に関係なく、相手が男性でも女性でも恋愛の対象になる人です。a3-4

3ー4 全性愛(パンセクシャル)

両性愛(バイセクシャル)が男性・女性を恋愛対象としているのに対し、全性愛(パンセクシャル)はそれに留まりません。相手が男性でも女性でもMtFでもFtMでもXジェンダーの人でも、どのような人でもすべてが恋愛の対象に入る人です。a3-5

3ー5 無性愛(アセクシャル)

そもそも恋愛という概念を持たない人です。人を好きになるとは何か、好意を寄せるとはどのような気持ちをいうのかなどよく分からず、自分の中で判断できかねてる人ですね。相手の性別はどうあれ誰かを好きになるというのが当たり前の現代で、それを持たない人も性的少数者として悩みを抱えています。

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トランスジェンダー

いわゆるLGBTの「T」にあたるのがこのトランスジェンダーです。性同一性障害の英語版のようですが、厳密にはちょっと違った概念で以下のように分かれます。まぁ似てますけどね。a4-1

4ー1 トランスセクシャル(TS)

身体的性別と性自認が異なっており、さらにその違和感・嫌悪感の度合いが強く長く継続し、性器(乳房を含む)の除去・変型つまりSRS(性別適合手術)をも望む人をいいます。中核群とも呼ばれ一般的には幼少期から明確な性別違和を抱いているケースが多いです。a4-2

4ー2 トランスジェンダー(TG)

身体的性別と性自認が異なっているものの、SRS(性別適合手術)までは望まない人をいいます。オペしなくても望みの性で生活できていれば良いと考える人です。周辺群とも呼ばれあまり強くは自身の性別に違和感を持たないものとされています。    akome

※TSとTGの違い

上のように分類しましたが、実際には幼少期から強い性別違和はなかったものの、成長の過程で性違和を覚えSRS(性別適合手術)を望む人はたくさんいます。つまりTG(周辺群)でもTS(中核群)と結果を同じくするケースは多いのです。TS(中核群)の人の中にはTG(周辺群)を嫌う人も一部にはいますし、TS,TG論争が繰り広げられる場面もありました。「真のGID」とは何か、というやつですね。しかし現在はTSもTGもほぼ同義と扱われているのが現状です。LGBTのTは通常トランスジェンダーと言いますしね。仲良くいきましょう。a4-3

4ー3 トランスヴェスタイト(TV)

いわゆる異性装者です。自身と異なった性別の服を着ることを望む人をいいます。クロスドレッサーともよばれますね。男装や女装がこれにあたります。先ほどのTSやTGとは違い自身の身体的性別と性自認が一致しています。性自認や性指向の問題ではないためトランスとは別の区分だと思いますが、広義での性別違和症候群としてトランスに含まれるものとされています。ちなみにこれに性的興奮を覚える人をさらにオートガイネフィリア(AG)といい、これは性的倒錯の一種です。さらにいえばAGの中にもSRSを望む人はいますし、実際にオペして戸籍変更を経て女性として生活している人もいます。いやぁ性の分野って奥が深いですね。

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性同一性障害

性同一性障害について見ていきます。a5-1

5ー1 性同一性障害とは

性同一性障害とは自身の生物学的性別と性自認が異なっており、そのことに強い違和感・嫌悪感を継続的に持つ状態およびその診断名を指します。性別違和、性別不合とも呼ばれます。英語で言うと「Gender Indentity Disorder」つまりGIDですね。

「性」とは身体的な「セックス」や社会的文化的な「ジェンダー」などがありますが、それらを含め自分のそれに違和感を強く持つ状態であり、できうる限り望みの性の身体、生活に近づけようとします。

「性同一性障害」といいますが、「障害」という言葉は適切でない・病気ではないとしてDSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル)が刷新され「性同一性障害」ではなく「性別違和」と呼称が変わっています。これに伴い該当者も「性同一性障害者」ではなく「GID当事者」と呼ぶ動きが出ています。でも日本では未だに「性同一性障害」という診断名が使われてますけどね。

GID当事者はその違和感・嫌悪感により反対の性ホルモンを摂取し身体的に望みのそれに変化させようとします。QOL(Quality Of Life、生活の質)を向上させるのです。嫌いな自分の身体をなんとか変えようとします。私たちMtFであれば女性ホルモンを摂取し女性化し、女性の服を着てメイクを練習し、髪を伸ばしてボイトレで女声を出して女性として生活しますよね。そして改名、SRS(性別適合手術)を経て戸籍変更して法的にも女性となることを望みます。a5-1-1

5ー1ー1 MtF

はい、私たちですね。身体的には男性ですが、性自認は女性であり、女性として生活することを望みます。このサイトを大いに活用してください。素敵な女性になりましょう。a5-1-2

5ー1ー2 FtM

私たちとは逆に身体的には女性で、性自認が男性の人をいいます。女性の象徴たる乳房を忌み嫌い生理がくるたびに絶望感を抱く人が多いです。男性ホルモンを摂取して乳房の切除、子宮・卵巣の内摘を行います。いやぁMtFとFtMの身体を交換できたらいいんですけどね。でもそんな技術は現代にはありません。残念です。a5-2

5ー2 診断

性同一性障害(…もとい、今は性別違和か。でも当サイトでは性別違和ではなく性同一性障害と呼ぶことにします)の診断は、通常「性同一性障害の診断と治療のガイドライン」によります。これは当事者を診断するにあたりその診察方法などの指針となるもので、国内の多くの病院ではこれに沿って診察・診断・治療が行われます。

このガイドラインでは

  • トランス環境のチェック
  • 周囲の理解・カミングアウトの必要性
  • 仕事・学業の継続可能性
  • 本人のパス度
  • 困難場面に対する対処力の測定
  • 性別違和の持続のチェック
  • GID以外の精神疾患の除外
  • 十分なRLEの達成

などが基準となります。これらをクリアして初めて性同一性障害と診断され、身体的治療(ホルモン治療等)に移行します。

しかしこのガイドラインは医師が診断するときに参考にするいち指針にすぎず、法的拘束力はありません。つまり必ずしもこれによらなければ診断されないわけではないのです。病院によっては独自の方針により診察し、診断を出すところもあります。その診断書も医師によるちゃんとした診断書であり、ガイドラインによって出されたものとその効力は同じです。

どの病院で診断を受けるか、よく考えて選びましょう。

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5ー3 治療

性同一性障害の治療は、まず反対性のホルモンの投与によって行います。MtFで言えば女性ホルモンの投与です。その後SRS(性別適合手術)、改名、戸籍変更を行い女性として生活できるようにします。

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まとめ

いかがだったでしょうか。単に「性別」と一言で言っても身体的性別、性自認、性指向など様々なものがあります。これらのことが概念として論じられ表に出始めたのはごく最近のことです。LGBTという言葉がようやくメディアでも取り上げられ、世間にも性的少数者の存在が認知され始めてきました。ネット環境も充実し、これらの情報にも容易にアクセスできる時代です。トランスするにはいい時代と言えるでしょう。

私は若くありません。幼少期、青年期にはLGBTという言葉などなく、その概念すらありませんでした。もちろんインターネットもありません。固定概念で囲まれた世の中で当然に「男」として育てられました。幼少期にもっと強い違和感があればよかったんですけどね、私はそうではなかったので多少の疑問は抱いたとしても当然のように男として過ごしました。だって男だもん。男は男らしく、そういう時代でしたから。しかしギリギリ間に合いましたかね。こんな私でも今は女性として生活しています。

これを読んでる人は様々だと思いますが、もしも「ひょっとしたら自分も…」と感じる人がいれば少しこの「性別」というものをもう一度見直してみてはいかがでしょうか。もしかしたら新たな人生が開くかもしれませんよ。

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